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屋久島トレッキングのシューズはスニーカーで大丈夫?写真で紹介します!
記事作成日: 2019-04-18
鹿児島の沖に浮かぶ、豊かな自然を持つ屋久島。古の時代から生命を保ち続ける縄文杉を見に行く、いわゆる「縄文杉トレッキング」のようなトレッキングは、とても人気のある島内アクティビティです。
一口にトレッキングと言っても、その難易度はさまざまですが、ここ屋久島でのトレッキングはかなり本格的なもの。とてもスニーカーで気軽に挑戦できるようなレベルではありません。
具体的にどのような困難があり、なぜスニーカーではなくトレッキングシューズが必要になるのかを、実際の縄文杉トレッキングの写真を使ってご説明します。
目次
屋久島のトレッキングコース
屋久島にはいくつものトレッキングコースがあります。代表的なものは、「縄文杉コース」と「白谷雲水峡(しらたにうんすいきょう)コース」の二つです。
白谷雲水峡コースは一本道ではなく、一つのエリア内で考えられる複数のルートをまとめたものですが、ここでは「太鼓岩」へと向かうルートを中心にお話します。
縄文杉コース
こちらは、屋久島のシンボルとも言える巨大な樹木「縄文杉」を見に行くコースです。
縄文杉を紹介する写真や映像を見ると、深い森の中にあるように思えます。そのため、縄文杉を目指すトレッキングは「長時間の森歩き」と誤解してしまいがちですが、実は縄文杉が生えているのは標高1,300mという非常に高い所です。
東京スカイツリーを二つ重ねても届かないような場所へ行くわけですから、そこには「登る」という要素も多く含まれます。
スタート地点は、東京スカイツリーのそばを流れる川と同じ名前の「荒川登山口」。島の南東の「安房(あんぼう)」地区から出発し、標高600m付近に位置するこの場所から縄文杉まで、約700mほど上へと向かうことになります。その行程の大部分を占めるのは、歩き始めから約8km続く、トロッコのレールが敷かれた道です。
「トロッコ道」などと呼ばれる、この緩やかな上り坂で稼げるのは約300m分の高さ。その先は2.5kmほどの区間で400m上昇する、かなり急な山道となります。足への負担は大きいのですが、この部分には「中に入って見上げると、天井の穴がハート型に見える」と言われるウィルソン株や、大王杉・夫婦杉など、いくつもの見どころがあります。
その先の縄文杉に到着するのは、出発からおよそ5~6時間後。日帰りで往復する場合は、(下りは若干ペースが上がるため)全部で10時間ほどかかります。体力に不安がある場合は、縄文杉の近くの施設やテントで1泊し、翌日帰るというプランも考えられます。
白谷雲水峡コース(太鼓岩への往復)
白谷雲水峡コースの入口は、荒川登山口から5kmほど北西にあります。こちらには特別な名前は無く、そのまま「白谷雲水峡入口」です。出発は島の北東にある「宮之浦」地区からとなります。
縄文杉という実質的なゴールが決まっている縄文杉コースに対し、白谷雲水峡では「絶対にここまで行かなくてはいけない」というポイントはありません。そのため、入口から30分ほどの所で引き返し、1時間ほどで観光を終えることも、逆に奥の方まで進んで戻ることもできます。
このコースの道を歩き続けると、最終的には縄文杉コースに合流します。「人」という字を逆から描くように、白谷雲水峡入口から入って縄文杉まで行き、荒川登山口から帰ることで、一度に両方のコースを踏破することも不可能ではありません。
ただ、日帰りでは(時間的にも体力的にも)観光を楽しむことは難しいでしょう。現実的な終点は太鼓岩の辺りとなります。この場合の所要時間は、片道4~5時間です。
太鼓岩方面の大きな見どころは、アニメ映画「もののけ姫」の幻想的な森のモデルとなった「苔(こけ)むす森」です。日常とかけ離れた不思議な光景に、疲れを感じ始めた身体も思わず軽くなることでしょう。
その先にある展望ポイントの太鼓岩でも、劇中の1シーンを思わせるような絶景が目の前に広がります。こちらも道中に苦労はあるものの、縄文杉コースに勝るとも劣らない、魅力あふれるコースです。
屋久島トレッキングにトレッキングシューズは絶対必要?
(屋久島とは違う地域での)ごく簡単なトレッキングなら、スニーカーでも大丈夫かもしれません。ですが、屋久島でトレッキングに挑戦するなら、トレッキングシューズは必ず用意すべきです。
縄文杉コースでも白谷雲水峡コースでも、平坦な道以外の険しい道……どころか、道が無いような所まで歩くことがあります。靴底の柔らかいスニーカーなどでは、尖った石や太い枝などを踏んだ時に痛みや衝撃をそのまま感じてしまいますが、頑丈な靴底を持つトレッキングシューズなら、足の裏はしっかりと保護されます。
接地面に刻まれた凸凹も深く、「危険な場所での滑りにくさ」という点でもスニーカーより有利です。
また、トレッキングシューズは足首もガッチリ固定してくれます。一般的な靴で長時間歩くと、つま先が靴の前面に当たって痛くなってしまうことがありますが、足首が固定されていれば、(常につま先の前に一定の空間があるため)そのような事態を避けることができます。さらに、足を捻挫してしまうリスクも減らせます。
このようなトレッキングシューズの特徴が実際のトレッキングでどのように役立つのか、縄文杉コースの写真で見ていきましょう。
このようなトレッキングシューズを履いて出発します。これは足首の部分が高いタイプですが、トレッキングシューズにはこの部分が低いタイプもあります。
トロッコ道ならスニーカーでも平気そうですが、8kmという距離は決して短くはありません。
スニーカーとトレッキングシューズの疲れ方の違いは小さいものの、果てしなく続くトロッコ道を歩いていると、その差はどんどん広がります。
山道には、歩きやすい階段が設置されている所もありますが……
このぐらい小さな足場の階段もあります。履き古して滑りやすくなったスニーカーでは危険です。
もはや道とは呼べない状況です。スニーカーでは足も頭も痛くなりそうな場面では、トレッキングシューズのありがたさを痛感します。
これは帰り道での1枚です。登るのも大変ですが、その逆も一苦労。足首が固定されていなければ、うっかりひねってしまうかもしれません。
ご覧のように、困難な場面も多い縄文杉への道のりですが、求められる体力は普通の中学生レベルです。
トレッキングシューズをはじめとした準備を整え、ペースを守って歩けば、誰もが安全に縄文杉までたどり着くことができます。
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トレッキングシューズはレンタルできる?
トレッキングシューズは決して安くはなく、頻繁に使う物でもないため、事前の購入をためらってしまうこともあるかもしれません。また、かさばるものですから、うっかり荷物に入れ忘れてしまうという失敗もありえます。なんらかの理由で、島に着いてからトレッキングシューズが必要になった時、頼りになるのは地元のスポーツショップやレンタルショップです。
登山グッズのレンタルを行っている店は、屋久島の安房地区にも宮之浦地区にも、複数存在します。また、レンタルが可能な宿もいくつかあります。すべてが宿の中だけで完結するのは便利ですが、商品の種類や数は限られます。
トレッキングシューズのレンタル料金の目安は、1泊2日で1,300円ほどです。借りる際には、普段の靴のサイズよりも若干大きめの物を選びましょう。トレッキングの際は厚手の靴下を履くため、ピッタリのサイズでは足が入らなくなる可能性があります。
屋久島に着くまではその気が無かったものの、島の自然の美しさに感動して、その場でトレッキングへの挑戦を決意した場合も、このようなショップを利用すれば、簡単に必要な物をそろえることができます。