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東京の天然プラネタリウム!伊豆七島のおすすめ星空観賞スポット!
記事更新日: 2023-05-03
人間の暮らしが便利になり、街の明るさが増すごとに、夜の空からは星が失われていきました。何かの機会に満天の星の写真や映像を目にすると、自分の目でそれを見たいという強い思いが生まれることも多いのではないでしょうか。
星の綺麗な場所というと、深い山奥や南の島が思い浮かびますが、東京都に所属する伊豆大島や八丈島といった伊豆七島でも、見事な星空を見ることができます。
今回は、そんな伊豆七島で星空鑑賞をする時のおすすめスポットを、島ごとにご紹介します。
目次
伊豆大島
野田浜
「野田浜」は、伊豆大島の北西にあるビーチです。このビーチと、島の西部の元町港を結ぶ5kmほどの海沿いの道は「サンセットパームライン」と呼ばれ、夕日の絶景ポイントとして知られています。
港周辺の宿を夕暮れ時に出て、サンセットパームラインを北上すれば、その途中か野田浜で太陽が海に沈む様子を見ることができます。そして明るさを失った空に現れるのは、優しくきらめく星々。港からすこし離れているため、商店などの灯りに邪魔されることも無く、その美しさを満喫できます。
三原山
伊豆大島の心臓部とも言える「三原山」は、登山口から山頂まで片道50~60分・山頂の火口一周は30~40分という、比較的短い時間でハイキングができる山です。
十分な準備と注意が必要になりますが、夜に星空を眺めながらハイキングコースを歩くことも不可能ではありません。麓の大島温泉ホテルの屋上には「三原山テラス」と名付けられた展望デッキもあり、夜のハイキングが不安な場合には、ここから夜空と三原山をまとめて楽しむこともできます。
新島(にいじま)
和田浜
「和田浜」は、新島の宿が集まるエリアから、すこし北に離れた場所にあるビーチです。そのため宿から近い「前浜海岸」に比べると静かで、人工的な光もほとんどありません。
以前は大きな音楽イベントの舞台として、夏が来るたびに大勢の人々で賑わった和田浜ですが、そのイベントがフィナーレを迎えた現在は、再び落ち着いた姿を取り戻しています。そんな静けさの中にも、どこかにかつての熱狂の幻が感じられるような星空スポットです。
羽伏浦海岸
家族や仲間と有名な星座を探しながら夜空を見上げるのも楽しいものですが、一人で静かに星を見つめたい時や、二人で甘い雰囲気にひたりたい時もあります。そんな時に、あまり広くないスポットを選んでしまうと、周囲の声や視線が気になってしまうかもしれません。
約7kmも砂浜が続く「羽伏浦(はぶしうら)海岸」なら、他の人々との距離を十分に確保できます。昼間の賑やかな様子から一変した夜の海岸で、波の音を聞きながら見る星は最高です。
式根島(しきねじま)
大浦海水浴場
式根島は全体がわずか4平方kmという小さな島ですが、そのおかげで宿から海辺などに出かけるのがとても簡単です。島の北部の「大浦海水浴場」の場合は、すぐ横にキャンプ場があるため、移動時間をゼロにすることも可能です。
西向きの大浦海水浴場から見える夕日はとても綺麗で、本格的に星を見る前から気持ちが盛り上がります。
また、「大浦の馬の首」と呼ばれる変わった形の大岩も目を引きます。オリオン座の馬頭星雲に似たその姿も、旅先での星空鑑賞という体験の特別さを増してくれるでしょう。
小の口公園
「小の口(おのぐち)公園」は、式根島の東側の海辺にある公園です。この辺りは隣の新島との距離が最も近く、ここからもその姿がよく見えます。新島の名物の一つに、イースター島のモアイ像に似たモヤイ像がありますが、この公園の中にも大きなクジラの像が設置されています。
実はこのクジラ、新島から運ばれてきたもので、その巨体はモヤイ像にも使われている抗火石(こうがいし)でできています。夜の公園で、星の海を往くクジラを想像しながら空を見上げるのも、なかなかおもしろいかもしれません。
神津島(こうづしま)
よたね広場
星を見るために、宿から離れた所へ夜に出かけるのは少々面倒に感じることもあるかもしれません。星空観察に向いた場所が宿の近くにあれば良いのですが、「静かで、余計な光の少ない場所」という条件を満たすスポットは、宿から遠いことがほとんどでしょう。
ですが、神津島の場合は宿の集まっているエリアから徒歩でも行ける所に「よたね広場」という最適な広場があります。夕食後のちょっとした空き時間にぶらりと訪れ、心にしみるような星空を眺めてみてはいかがでしょう。
多幸湾
「多幸湾」は、神津島の中央付近に位置し、南東の海に面する湾です。神津島では「天上山(てんじょうさん)」のトレッキングが人気ですが、多幸湾はその斜面の一部が海に入り込むような形になっています。
この光景は、夜に見てもなかなかのインパクトがあり、星空と共に自然の素晴らしさを感じさせてくれます。ここにはキャンプ場もありますが、宿の集まるエリアからの走行距離も3kmほどです。展望台も南側に複数用意されていて、高い所から星と多幸湾の様子を見ることもできます。
三浦湾展望台
神津島南部の三浦湾を望む「三浦湾展望台」は、開放感のある景色で人気の絶景スポットです。昼は緑の島と青い海が形作る大パノラマが、夜はため息の出るような星空が目の前に広がり、さらに年の初めにはは初日の出という楽しみも加わります。
ここから700~800mほど南西には神津島空港がありますが、その光が夜空に与える影響は少なく、星の美しさが失われることはありません。昼と夜、どちらの様子も知りたくなる展望台です。
三宅島
伊豆岬
「伊豆岬」の伊豆とは、広い地域としての伊豆ではなく伊豆半島のことで、「伊豆見崎」と呼ばれていた時代もありました。最も手前にある新島をはじめ、三宅島の約80km北東に位置する伊豆半島、そしてよく晴れた日には富士山まで見える見通しの良さは夜も変わらず、まさに降るような星空が視界いっぱいに広がります。
この岬の目印となっている四角い柱のような形の灯台は、なんと今から100年以上前に建てられたという歴史あるもの。その白く大きな姿は、青空にも夜空にもよく映えます。
七島展望台
「七島展望台」は、三宅島中央部の雄山(おやま)にある展望台です。名前の由来は伊豆七島で、条件の良い日には最も北側の伊豆大島から南端の八丈島まで、伊豆七島のすべてを見渡せます。
そして暗くなれば、伊豆七島エリアの中心に近いこの場所から星空を見ることができます。雄山の標高は775mで、その中腹にある七島展望台も高さは十分。平地で見る時よりも空への近さを感じられますし、騒音や星以外の光が気になることもありません。
沖原海岸
「沖原海岸」は三宅島の南東にある海岸で、足元に広がる玄武岩の大地は、約2,500年前の噴火の際に流れ出た溶岩流が冷え固まったものと言われています。
昼も夜も普通の砂浜とは違う雰囲気があり、星空鑑賞の場としても欠点の無い沖原海岸ですが、満月の夜にはもう一つ楽しみが増えます。それは「月の道」という名で知られている不思議な自然現象です。
海面に現れる、まるで月へと向かう道のような白い光の線は、沖原海岸をより神秘的な雰囲気にしてくれます。
八丈島
八丈小島展望台
八丈小島は、八丈島から4kmほど西に離れた所に浮かぶ島です。やや海辺から離れた「八丈小島展望台」から計測しても、八丈小島までの距離は5kmをわずかに超える程度で、その姿がはっきりと見えます。これだけ近ければ、目に映るものも似てきます。
現在は無人島となっている八丈小島にも、1969年に八丈島への移住が完了するまでは元気に暮らす人々の姿がありました。八丈小島展望台から夜の空を眺めれば、当時の八丈小島の人々が見上げた星空を想像することができるでしょう。
八丈富士
伊豆七島の山の中では最も高い「八丈富士」。八丈島で星を見ようとすると、ここが最初に思い浮かぶかもしれません。標高854mという数字だけを見ると大変そうに思えますが、車道が整備されているため、山頂までの所要時間は片道1時間というところです。
とは言え、夜の登山はすべての方におすすめできるものではありません。無理に山頂を目指さず、登山口までの道中にある展望台などを利用するのも一つの手です。この方法なら、車で安全・快適に八丈富士からの夜空を楽しむことができます。
南原千畳岩海岸
真っ黒な火山岩でできた「南原千畳岩(なんばらせんじょういわ)海岸」には、戦国武将の宇喜多秀家(うきたひでいえ)と、その妻の豪姫の像があります。秀家が治めていたのは二人の像の視線の先にある岡山県の辺りでしたが、関ヶ原の戦いの後、彼は八丈島へと流されてしまったのです。史実では豪姫と再会することができなかった秀家は、この像と同じように故郷での暮らしを思いながら西の夜空を眺めていたのかもしれません。ここから見る星空は、そんな歴史の中の物語を感じさせてくれます。
汐間海岸
中~上級者も満足させる波が来ることから、サーファー向けの海岸として知られ、毎年大会も開催されている「汐間(しおま)海岸」。今の様子からは想像しにくいのですが、かつては「汐間温泉」という顔も持っていました。現在は、岩の隙間から湧き出るわずかなお湯を見つけられる程度ですが、近くにはまだ「洞輪沢(ぼらわざわ)温泉」があります。うねる夜の海と輝く星空が生み出す光景と、心も身体も安らぐ温泉を同時に楽しんでみてはいかがでしょう。