この記事を書いた人 トリッパー編集部
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北海道のスキー場 何空港を使えばいいの?
記事更新日: 2024-09-23
日本の最北端に位置する北海道は、真夏でも涼しく、冬場は厳しい寒さに襲われる地域です。その長いスキー・スノボシーズンには、「彼方まで広がる北の大地で、極上の雪を楽しみたい」と願うスキーヤーやボーダーがこの地に集います。かつては大変だった北海道までの移動も、今は飛行機であっという間です。
ただし、その際に気をつけたいのは空港選びです。他の都府県よりもはるかに広い北海道には、離れた場所にいくつもの空港があります。目的のスキー場までの距離を考えずに空港を選んでしまうと、本来ならスキー・スノボに使えたはずの時間が、長距離移動のために消費されてしまうことになります。
そこで今回は、基本となる新千歳空港を中心に、道内四つの空港からアクセスできるスキー場の情報をまとめてみました。
目次
北海道の空港
北海道の有名スキー場の多くは、札幌市の東西のエリアに存在します。このうち、西側の小樽(おたる)市やニセコ町方面のスキー場にアクセスしやすいのは、札幌市に近い「新千歳空港」です。
一方、西側は少々複雑で、札幌市・旭川(あさひかわ)市・帯広(おびひろ)市が作る西・北東・南東の三角形の中に複数のスキー場があります。こちらは「新千歳空港」と「旭川空港」、「帯広空港」という三つの空港からの距離を比較し、使い分けることになります。(※帯広空港は「とかち帯広空港」と表記されることもあります)
また、北海道の中央付近に比べると数は減りますが、本州との接点となる函館(はこだて)にもスキー場はあります。たとえば五稜郭など、何か函館での観光を考えている場合は、「函館空港」からアクセスしやすいこのようなスキー場も候補になります。
新千歳空港
サッポロテイネスキー場
新千歳空港から車で約60分
新千歳空港の40kmほど北西には札幌市があります。その周囲のスキー場の中で、最も札幌市街に近い「サッポロテイネスキー場」と、札幌駅の間の直線距離は約12km。中心部ではなく市街地の端から見れば、本当に目と鼻の先です。
そう聞くと、小規模な練習用のスキー場を想像してしまうかもしれませんが、コースは15本もあり、実に6,000mもの連続滑走が可能です。空港からスキー場へ直行可能なバスは運行されていませんが、レンタカーやタクシー以外では、JRで手稲駅へ移動し、そこからバスに乗るという方法があります。この場合の所要時間も60~70分です。
現在のサッポロテイネスキー場は、1972年の札幌オリンピックのために造られた「テイネオリンピアスキー場」と、後に開業した「テイネハイランドスキー場」が一体化したものです。そのため、旧テイネオリンピア側には当時のコースや聖火台が今も残っています。
札幌国際スキー場
新千歳空港からバスで約120分
サッポロテイネスキー場のすこし西側にあるのは「札幌国際スキー場」。地図上では大きく離れているわけではないのですが、こちらは山と山の間に踏み込む道の先にあり、空港からの直行バス「北海道リゾートライナー」の所要時間は2時間程度と長めになっています。アクセスにはやや難があるものの、このような場所だけに毎年の積雪量はかなり多く、気持ちの良い滑りを期待できます。
コース数は7本と控えめながら、コース長はすべて1,000m以上。初級者向けの「林間コース」と「メルヘンコース」が連続する最上部からのルートでは、麓まで3,600mもの長距離滑走を楽しむことができます。
唯一の上級コースも、最上部から始まる2,200mのロングコースです。中級コースも途中で切れてしまうことが無く、どのレベルの方でも一気に滑り降りる爽快感が味わえます。
朝里川温泉スキー場
新千歳空港から車で約65分
札幌市から北西の小樽市へ向かう道は、海沿いの国道6号線です。「朝里川(あさりがわ)温泉スキー場」は市の中心部のすこし手前、小樽駅から6~7kmの所にあります。空港からの直通バスは無く、「電車+通常のバス」という方法では複数回の乗り換えが必要です。
「パープル」「グリーン」「レッド」など色の名前が付けられたコースは、全部で9本。最大斜度は16度から36度まで幅がありますが、平均斜度は大部分が15度前後です。最下部にスノーエスカレーター付きの練習エリアは用意されているものの、まったく未経験では少々苦労するかもしれません。一方、中~上級者にとっては適度な難易度のコースばかりの魅力的なスキー場と言えます。
温泉街の近くにあるスキー場ということで、アフターの楽しみも豊富です。また、ここまで走って来れば小樽の街はもう目の前ですから、小樽観光や小樽での宿泊も考えられます。
キロロスノーワールド
新千歳空港からバスで約120分
朝里川温泉スキー場の南にある「キロロスノーワールド」へは、新千歳空港から直行バスが出ています。空港から乗り換えも運転も不要というのは、やはり便利です。このバスは「北海道リゾートライナー」で、札幌や小樽発着の便もあり、これらの街を拠点とすることもできます。
コースは初級8本・中級7本・上級9本とバランス良く豊富に用意されています。このコース数が選択の決め手となることも多いかもしれません。積雪量も道内トップクラスです。あまりにも雪が降るため、晴天が期待できないというデメリットはあるものの、多くの場合は「大量の新鮮な雪」というメリットが勝るでしょう。
特に、初めてのスキー・スノボでは万が一の雪不足は絶対に避けたいもの。雪に恵まれ、初級コースも十分な数があるキロロスノーワールドは、北海道でのスキー・スノボデビューにおすすめのスキー場の一つと言えるでしょう。
ルスツリゾート
新千歳空港から約120分
新千歳空港の西側エリアで紹介されることが多いのは、札幌市~小樽市周辺と、空港から約80km西側のニセコ町のスキー場です。しかし、そのニセコへ向かう途中のほどよい距離にある「ルスツリゾート」も、とても魅力的で見逃せません。
空港からの直行バス「北海道リゾートライナー」なら、所要時間は約2時間。走行距離は約85kmですから、レンタカーでの移動も十分考えられます。ルスツリゾートのホテルに泊まらず、札幌の宿から出発する場合も、それほど長距離を走る必要はありません(※札幌駅から約75km。直行バスもあります)。
三つの山で待ち構えるコースは、連絡コースや迂回コースといった細かいものを除いても30本以上あり、総滑走距離(=すべてのコースの長さの合計)は42kmという驚異的な長さです。それらの移動を支えるリフト・ゴンドラも合計18基と、道内トップの数字がいくつも並ぶ大規模スキー場です。
ニセコマウンテンリゾート グラン・ヒラフ
新千歳空港からバスで最短約150分
北海道でのスキー・スノボを考えているなら、ぜひ目的地の候補に入れてみたいのが、雪質の良さを海外からも評価されているニセコ町のスキー場です。
空港からの距離は少々遠いのですが、「ホワイトライナー(※約150分)」「北海道リゾートライナー(※約180分。途中でルスツにも停車)」「中央バス(※約210分。西→東のスキー場の順で停車)」と複数の直行バスがあるため、アクセスは簡単です。
ニセコアンヌプリ山には、この「グラン・ヒラフ」をはじめ、四つのスキー場があります。グラン・ヒラフは隣の「ニセコHANAZONOリゾート」とリフト券が共通になっている大規模スキー場で、コースは合計で30本もあります。さまざまなコースのあるグラン・ヒラフ側だけでも十分に楽しめますが、HANAZONO側に行けば新たな発見ができるでしょう。人気の高さから周辺に宿泊施設も多く、ニセコでの拠点としやすいスキー場です。
ニセコビレッジスキーリゾート
新千歳空港からバスで最短約170分
グラン・ヒラフの西側に隣接しているのは「ニセコビレッジスキーリゾート」です。空港からわずかに遠くなるため、各バスの所要時間は20分ほど増えます。ニセコアンヌプリ山までの走行距離は110kmほどですから、空港からレンタカーに乗ってのんびりと北海道でのドライブを楽しむのも良いかもしれません。
多彩なコースで幅広いレベルのスキーヤー・ボーダーを受け入れるグラン・ヒラフに対し、かつては初級コースの数が少なく、難コースが目立っていたニセコビレッジは中~上級者向けのスキー場として知られてきました。現在はビギナーにも優しいコースが増え、ある程度の経験があれば緩やかなコースでの長距離滑走も可能ですが、評価が高いのはやはり高難易度のコースです。向上心やスリルを求める心に、しっかりと応えてくれるスキー場と言えるでしょう。
ニセコアンヌプリ国際スキー場
新千歳空港からバスで最短約175分
「ニセコアンヌプリ国際スキー場」は、ニセコアンヌプリ山の一番西側にあります。そのため、グラン・ヒラフとの到着時間の差は40~50分と大きくなります。
こちらのスキー場へ滑りに行く場合は、山の西側から東側の順で停車する(=ニセコアンヌプリ国際→ニセコビレッジ→グラン・ヒラフ)「中央バス」を選べば移動時間が最短になります。また、グラン・ヒラフやニセコビレッジを経由せずに直行できるレンタカーも有力な選択肢です。
全体的に緩やかで滑りやすいニセコアンヌプリ国際スキー場は、ニセコでのスキー・スノボデビューを考えている方にもおすすめしやすいスキー場です。グラン・ヒラフ(+HANAZONOリゾート)の30本や、ニセコビレッジの27本と比べると少なく見えてしまう全13本というコース数も、スキー場そのものに不慣れな間は、「場内での移動で悩まずにすむ」というメリットになります。
この他、新千歳空港からは東側の複数のスキー場へのバスも出ています。
たとえば、「星野リゾート トマムスキー場」までは約120分、「富良野スキー場」までは約140分です(※共に「北海道リゾートライナー」)。基本的には、こうしたスキー場へ行く場合はそれぞれに近い空港を選ぶ方が楽ですが、札幌を拠点としたい場合は新千歳空港を選ぶこともできます。
旭川空港
カムイスキーリンクス
旭川空港からバスで約60分(※個人での予約は不可)
「カムイスキーリンクス」は、旭川空港から20kmほど北東にあるスキー場です。空港からのルートも、北に進んでから西へ直角に曲がるだけと、実にシンプル。この曲がり角が旭川市ですから、市内の宿からのアクセスはさらに楽です。
多くの大規模スキー場は民間の会社が所有・運営するものですが、カムイスキーリンクスを所有しているのは旭川市です(※管理は民間に委託しています)。コース数25本と、その規模は大きく、一般的な町営・村営のローカルスキー場をイメージして滑りに行くと驚かされることでしょう。
カムイスキーリンクスの小さな弱点は、「個人で利用可能なバスが旭川市発着のみ」ということです。空港~スキー場間のバスは、現在は旅行会社のみ予約・利用可能なため、ツアーを利用せずに空港から直行する場合はレンタカーや「電車+バス」のような方法を選ぶことになります。
富良野スキー場
旭川空港からバスで約80分
旭川空港の南側には、昭和の人気ドラマで日本中に知られた富良野(ふらの)市があります。広大な二つのエリアに多数のコースが配置されている「富良野スキー場」は、この富良野市が誇るスキー場です。
カムイスキーリンクスよりは多少遠いものの、地図を広げれば新千歳空港や旭川空港との距離の差は一目瞭然。他の地域の観光など特別な理由が無い限り、富良野スキー場へ滑りに行くなら旭川空港が正解となります。空港からスキー場への直行バス「ラベンダー号」でも片道90分はかかりませんし、約45kmの道を走るのはレンタカーでもそれほど大変ではないでしょう。
富良野スキー場は北海道のほぼ中心、つまり雪を重くしがちな海から大きく離れた場所に位置しています。こうした地理的な要因もあり、雪質は驚くほどサラサラです。コースの魅力と共に、この点も多くのスキーヤーやボーダーから高く評価されています。
旭川空港を選べば、ユニークな展示方法で人気の「旭山動物園」のような旭川の名所観光も行えます。
また、空港からレンタカーで約110分の「十勝サホロリゾート」や、レンタカーでは約120分で「北海道リゾートライナー(※約150分)」という選択肢もある「星野リゾート トマムスキー場」も、旭川空港から比較的利用しやすいスキー場です。一方、新千歳空港の西側、特にニセコへ行くのは大変で、あまりおすすめできません。
帯広空港
サホロリゾートスキー場
帯広空港からバスで約80分
帯広空港の北西には、二つのスキー場がそれほど間を空けずに並んでいます。その一つである十勝サホロリゾート内の「サホロリゾートスキー場」は、全部で21本のコースを持つスキー場です。空港発着のバス「北海道リゾートライナー」での所要時間は約80分。それほど遠くないため、レンタカー(※約80km・有料区間アリ)で軽く寄り道しながら行くのも悪くありません。
旭川や札幌よりも南に位置するこのエリアは晴天率が比較的高く、そのことは滑走時に美しい眺めという楽しみを与えてくれます。初級コースの数も8本と多めで、景色に目を向ける余裕が持てるでしょう。
それ以上に多いのは上級者向けのコースで、なんと10本もあります。残る中級コースは、わずか3本です。かなり思い切った構成ではありますが、この偏りこそがサホロリゾートスキー場の持つ強力な個性と言えるでしょう。
星野リゾート トマムスキー場
帯広空港からバスで約130分
十勝サホロリゾートの隣にあるのは、同じように北海道で優雅なひと時をすごせる星野リゾート トマムです。「星野リゾート トマムスキー場」には、全部で29本ものコースが用意されています。
空港からの直線距離も走行距離も十勝サホロリゾートとそれほど変わらないのですが、「北海道リゾートライナー」は十勝サホロリゾートを経由するため、所要時間はこちらの方が長くなります。運転に問題がなければ、レンタカー(※約85km。途中に有料区間アリ)で直行して、移動時間を30~40分減らすこともできます。
こちらは上級コースが4本で、最も多いのが中級コースの14本という、サホロリゾートスキー場とは正反対のようなコース配分になっています。初級コースは10本(+初心者専用コース1本)とたっぷり用意されているため、ビギナーはどちらのスキー場を選んでも大丈夫です。
帯広から南東の釧路(くしろ)や東の阿寒湖、さらにその先の知床(しれとこ)などを含めた観光を予定しているなら、帯広空港に注目してみましょう。
帯広空港も旭川空港と同じく、ニセコや小樽方面を目指すのは困難ですが、近くのスキー場2ヶ所はどちらも多くのコースを持ち、お互いの弱点をうまく補うような形になっています。さらに選択肢を増やしたい場合は、北の「富良野スキー場」や西の「マウントレースイ スキーリゾート」(※どちらも車で約150分)が候補となります。
函館空港
函館七飯スノーパーク
函館空港から車で約50分
青森県の北端から海を越え、30km弱の場所にある函館空港。「函館七飯(ななえ)スノーパーク」は、そこからさらに25kmほど北側のスキー場です。空港からの直行バスは無いものの、走行距離はわずか40kmほど。そのため、函館市街観光のような感覚で、とても気軽に利用できます。
函館空港の周辺には他にも数ヶ所のスキー場があります。しかし、全8本と最もコース数が多く、4,000mもの連続滑走が可能で、さらにナイター営業も行われている函館七飯スノーパークは、頭一つ抜けた存在と言えるでしょう。
麓から最上部へは、約3,300mのゴンドラで一直線。緩やかな初級コースが場内の大部分を占め、中~上級者でなくても爽快な滑りを楽しめます。雪をまとった駒ケ岳の眺めも抜群。山頂の「PEAK CAFE」では巨大なガラスに囲まれた暖かな空間で、その景色と食事を味わうことができます。
ここまでに登場した(函館七飯スノーパーク以外の)スキー場のうち、最も函館空港に近いのはニセコの三つのスキー場ですが、それでも空港からは175km以上走る必要があります。そのため、函館空港を選ぶ場合は函館七飯スノーパークや「ニヤマ高原スキー場」のような函館周辺のスキー場がおすすめとなります。
※各スキー場名の下の所要時間は、直行バスを優先して記載しています。この場合、レンタカーやタクシーなどでは、多少短くなる可能性があります。それらの移動時間は、該当スキー場の公式サイトに記載が無い場合のみ、Googleマップを利用して計測しています。