この記事を書いた人 根子 陵子
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どう楽しむ?どこを観る?軍艦島上陸ツアー
記事作成日: 2015-07-24
世界遺産登録が決定した「軍艦島」。せっかく行くなら上陸をしてゆっくり見学がしたい! という人も多いのでは? そこで今回は、軍艦島上陸ツアーの特徴や見どころをスポット別にご紹介。日本の近代化を支えた軍艦島の姿を目に焼き付けましょう!
「第一見学広場」 かつて、日本の未来と呼ばれた場所
軍艦島に降り立ち、最初に目にするのが「第一見学広場」。かつてここには貯水槽や高層アパート、小中学校、炭坑夫やその家族の住まい、鉱員住宅がありました。
なかでも有名なのが「65号棟」と呼ばれる鉄筋コンクリート造のアパート。現在、軍艦島に残されている建物で最大となるこの建物は、劣化が進みながらも観るものを圧倒する迫力があります。
総戸数約300戸からなる65号棟には入居者のための歯科医院や美容院がありました。さらに屋上には、保育園も併設。最盛期には200人以上の子どもたちが通っていたといいます。
7階建ての小中学校には、当時の最新鋭技術とされたエレベータが設置されていたというのだから驚きです。
かつて、「日本の未来」と呼ばれ、日本の叡智と技術が集結していたこの地。いまはただ、朽ち果てた建造物が静かに佇んでいます。
「第二見学広場」 日本の近代化を支えた炭鉱夫たちの軌跡
生活の基板であった第一見学広場とは打って変わり、「第二見学広場」には鉱山の中枢であったレンガ造りの事務所、第二竪抗に降りて行くための桟橋跡など、炭鉱夫たちの仕事場跡を目にすることができます。
朝から晩まで働く炭鉱夫たち。帰宅前には事務所に併設された銭湯で真っ黒に汚れた身体を洗うのが日課だったそう。
島の司令塔的存在だったこの場所には軍事機密があり、子どもたちの立ち入りが禁止されていたそうです。
「第三見学広場」 日本最古の鉄筋コンクリートアパート「グラバーハウス」
軍艦島上陸ツアーの最後を飾るのは、大正3年に建てられた日本最古の鉄筋コンクリート造の7階建てアパート「30号棟跡」。鉱員社宅として建設され、「グラバーハウス」とも呼ばれていました。
隣接する「31号棟」には郵便局や公衆電話があり、周辺には映画館や料理店、商店なども。連日多くの人々で賑わっていた様子がうかがえます。
30、31号棟が建てられた当時、鉄筋コンクリート造はまだ試行錯誤の実験的段階だったといわれています。そのため、建築学においても貴重な遺産として重要視されています。
軍艦島上陸の注意点
軍艦島への上陸は、ツアー会社に申し込む必要があります。個人での上陸はできません。また、長崎市の規定により、見学は1時間以内と定められています。
禁止区域への侵入は、老朽化した建物が崩れ落ちる危険性もあるので絶対にやめましょう。足場が悪い場所もあるので、履き慣れた靴や動きやすい服装がベター。
見学できる場所は限られており、コンクリートで舗装されたルートに沿って歩きます。ツアーのほとんどにガイドが同行するので、詳しい軍艦島の歴史を知ることができますよ。
未来への遺構 自然との共存を目指して
吹きさらしになっている軍艦島の建造物は、少しずつ崩壊が進んでいます。数年後には形を変えている可能性もあるので、その出会いはまさに一期一会。
日本の未来と呼ばれた地に立ち、その「未来」に生きるわたしたち。軍艦島はなにを語りかけてくれるのでしょう。